検査を受ける

airon works

溶接後検査を受ける話はしてきましたが、どのような検査をするのかを見ていきたいと思います。

鉄骨屋で検査と名の付く項目は結構多い気がします。材料の受入検査、組み立て検査、溶接のUT検査、寸法検査などがありますが今回はUT検査についてお話しようかと思います。

UT検査とは

UTとは( UTUltrasonic Testing )の略で、超音波探傷試験のことを指します。超音波を試験体内部に伝播させて、きずから反射した超音波の強さと反射する範囲を元に、きずの大きさや形状を推定することによって、試験体の評価を行うものです。

ここでのきずとは溶接内部にある欠陥を意味します。

では、欠陥とはなに?になると思います。溶接内部には溶け込み不良やブローホール、割れなどの有害な結果が残る可能性を内包します。溶接が終わって目で見ておかしなところがないかを確認することを「目視検査」と呼びます。目視検査は読んで字のごとく目で見て確認することを意味します。

目視検査は別名外観検査とも呼ばれ、僕はこの検査が重要だと思っています。見た目が大事ということです。きれいな外観は見た人に良い印象を与えるだけだはなく、破壊の原因につながる可能性が0とは言いませんが、非常に少なくなります。しかも、目視検査に合格をしないと次のステップに行くことも叶いません。

目視(外観)検査の次がいよいよ超音波探傷検査になります。

超音波は鉄の中を伝わって、空気の層に跳ね返るようになっています。例えば溶接が割れている場合はその割れから跳ね返ってきた音波の大きさで欠陥の位置や大きさを探ることから超音波で傷を探すので、「超音波探傷検査」になります。

音波本体から出ている探触子を試験体に接触させます。先程言いましたが、空気の層があると跳ね返ってきますので、そのままくっつけても音波は試験体に入りません。そこでグリセリンを試験体に塗って(塗布)音波の侵入を助けます。普段使いにはグリセリンではなく洗濯のりを使用していますが、(非破壊検査協会の教えではグルセリンを使うことになっています。)検査技術者の技量と経験値によって検査精度によって大きく結果の差がでます。

その他の検査方法(種類)

浸透探傷試験=表面に傷があるのかを調べる時に採用される方法です。1液を試験面に塗ります。塗布した液を表面から除去します。2液をかけると傷に隙間に入り込んだ1液がにじみ出てきます。この滲み出した場所が欠陥部分になります。

放射線透過試験=別名レントゲンと呼ばれ、レントゲンの名の通りX線撮影を行い試験体の中身を確認する事ができます。中身が見えますので、UT検査よりも精度の高い検査方法になりますが。用意が大変などデメリットが当然ありますので使い道を考慮したり、検査方法を指定されていたりする場合もあります。

磁粉探傷試験=磁粉も浸透探傷試験と同じように表面の傷に有効になってきます。ただし少し違いがあるのは浸透検査は表面に傷がないと反応が出ません。それに対し磁粉は表面直下の傷にも反応して見つけることが出来ます。ここに差が出ますので一長一短最適な検査方法を選択して行かなければいけません。

まだ他にも検査方法はありますが、鉄骨屋ではUT検査が大半をしめています。目視検査と超音波探傷検査この2大勢力を味方に付けて製品検査を乗り越えていきましょう。

今回はこれにて失礼します。次回またお会いいたしましょう。

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