鉄骨溶接

建築鉄骨に必ず必要とされる資格の1つに溶接技能者があります。

グレード工場での溶接技能者とは、主に半自動溶接機を使用する溶接技能者を指します。

手溶接をないがしろにするつもりはありませんが、現在自社の工場溶接は組み立て溶接に至るまで半自動溶接を使用することが基本になっています。

せっかくなので2種類の溶接を確認してみたいと思います。

手溶接

ではなぜ、手棒の溶接は使用することが少ないのでしょうか?

長所と短所を上げてみようと思います。

長所としては、用意が比較的容易である。アースとホルダーを用意して電源を入れれば段取りは終了になります。後は溶接棒をホルダーにセットして電極が接触すると棒が溶ける。溶ける際に棒の周りに薬が付いていて薬と一緒に棒が溶けます。溶けた薬が酸化防止剤になり健全な溶接が可能になるという仕組みになります。以上の点から溶接までの段取りする点数が少ないことが伺えるかと思います。

短所は、溶接の速度が遅いことが挙げられます。何と比較してと言えば半自動溶接と比べてになりますが、私自身の体感速度で言えば5倍以上の速度差が出ていると思います。

特筆すべき短所溶接棒の分しか溶かすことは出来ない。

当たり前のことですが、棒の長さが300ミリ程度であれば300ミリ以下の溶接長しか取れません。棒がなくなるたびに取り替えなければならないところが手間になってきます。

速度が遅くて棒の取り替えが頻繁なんだけど、段取りが簡単なのが手溶接

半自動溶接

先程の比較対象で上げてみたので、長所と短所を上げてみます。

長所は溶接速度が速いところが1番に上がります。使用する電流値は手溶接に比べて高くなります。電流は溶接材料を投入する速度になりますので、材料の入りが速ければ速いほど溶接スピードが速くなります。

 次に挙げられる点については連続溶接が可能になるという点。半自動溶接はセットする溶接材料がドラムになるのかパックになるのかで大きく別れますが、ドラムならば20k、パックならば250kと選択可能になります。一本のワイヤーが巻き取られている状態になっているのでなくなるまでは継ぎ足す必要はありません。したがって溶接材料の補充が手溶接と比べて非常に少なくなり溶接効率は格段にUPします。

短所は用意は大掛かりになる点、手溶接よりも大きな電源(ゼネレーター)が必要になること。

手溶接ではホルダーとアースの2本を用意すると準備完了になりますが、半自動はワイヤーをセットする送給装置、送給装置の操作スイッチの役割に当たるトーチ、シールドガスを必要としますので炭酸ボンベ、など手溶接より用意点数が多くどれもが重量があります。このことから段取りは大変になります。

天候に左右される点もおおきな短所と言えます。風が強い日などはシールドガスが切れないようにしないといけません。シールドガスがない状態で溶接をしてしまうとブローホール(通称ブロー)という溶接欠陥ができてしまうので製品にならないなんてことはよくある話です。雨の日も同様で溶接部に水が差していると溶接の熱で水蒸気になり酸化の原因を招くことになります。

使用条件が手溶接よりも厳しく制限されてしまう事が多いのが半自動になります。当然使い方次第では手溶接の何倍もの成果を得られることも少なくないので、使用の際にはよく検討されることをおすすめします。

どちらがいいの?

工場で作業するのか現場で作業するのか?

工場で作業するのであれば圧倒的に半自動がオススメになります。ただし半自動は作業範囲がだいぶ決まってきてしまいますので作業効率の良い配置ができるのならば迷う必要はないかと思います。手溶接は半自動溶接の範囲外の作業で溶接が必要なとき、例えば広い敷地で作業範囲が大きく半自動を移動する方が手間になる場合等が考えられます。

ここまで考察したことは組み立て作業者に対しての考察になります。工場での本溶接は半自動一択になりますのでそこはお間違いなきよう願います。

それでもトーチが入らないような狭小部分等は手溶接が必要になる時もあります。ただしそうはならないように設計段階で気がついていければ良いのですが、なかなか実物を目にしなければ気がつけないことは多いと思います。

現場での作業は移動が多いので、準備が簡単な手溶接が基本になります。溶接速度はおそいのですが準備からのコスパを考えると手溶接を採用することが圧倒的に多くなります。

半自動も使用するのですが、コチラは専門業者に依頼することが多いです。

この仕事(建築鉄骨加工)の作業者ならば溶接を使用しなければ形にすることは叶いません。

工場で作業するのか現場で作業するのかどちらにしても溶接は必要なスキルの一つになります。

部品を組み立てる。組み立てた部材を溶接して製品にすることが自分たち鉄骨屋の仕事になります。

溶接のスキルを身に着けて必要な知識も身につけてしっかりとした判断ができるようになれば何を用意すれば良いのか分かるようになります。あと必要なことは場数、経験値を積むこと。これ以上の教育材料はありません。

工場の生産体制を体験して、現場での環境を理解していけば自ずと80点以上を獲得することはできるようになろかと思います。

より良い結果を得ることはより良い経験を積むことにより可能になると信じています。

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