鉄骨柱の仕口を組み立てる工程がどのようなものかを見て行きます。
サイコロの組み立てが終了して、溶接まで終わった後の話になります。
コアの組み立て
物件ごとに設計図書は違います。
同じようなものであれ、全く同じものはありません。
同じ設計事務所が出している設計図だとしても、似ているところがあるというだけで、長さが違っていたり、材質が違っていたりと些細な違いがあります。よく見て、設計図書に書いてあるものと同じ物を作りましょう。
サイコロにH鋼を取り付けます。
図面でサイズ、長さ、位置方向、を確認します。
それを逆さまにして組み付けます。
逆さまにする理由は当然あります。天端を基準に組み付けるためライナーの厚みで調整がしやすいようにするためです。厚みの分だけ差をつけやすくわかりやすくなります。
H鋼天端とサイコロ天端には目違い防止のために3㎜の段差を設けます。
ここでは平坦な専用の台の上で作業するため、乗せる台にサイコロの方が3㎜低くなるようにセットします。サイコロよりもH鋼の方に3ミリ多くライナー(嵩上げ材)を用意します。
ここでは6㎜と9㎜を使って3㎜の差を付けています。
この3㎜が目違い防止の余裕になります。
1次加工を協力会社にお願いしたH鋼は「切断」「開先」「ショットブラスト」までが終わった状態になっています。
サイコロを治具にセットします。
サイコロの面が専用台(以下を治具と表記)の十文字の位置になるようにおきます。
サイコロは逆さまになるようにセットしますので上下(天地)に気をつけましょう。仕口位置も逆さまになるので、頭の中でひっくり返して寄せ方向は合っているのかを確認しながら、コアの形を作って行きます。
治具の当てに合わせて楔を打って固定します。サイズ、長さの確認も忘れずに。
裏当てを用意します。FB-9×25を仕口開先に取り付けて行きます。天端は楔で固定していますので、すぐに決まります。
H鋼の倒れを修正してサイコロの面に合わせて調整します。フランジの刃を天端と同じ位置になるようにジャッキなりレバーで起こしたり倒したりしながら合わせて行きます。
この時に1番大事なことはダイアフラムの板厚の中にH鋼のフランジを入れきれないと告示違反になってしまいます。簡単に言ってしまいますと、法律違反になります。
鉄骨製作にはたくさんの決まり事があります。その中でも告示違反は最重要項目の決まり事になります。
仕口を取り付けて組み立て溶接をして台から下ろします。上下を入れ替えて副材を取り付けます。
開先に裏当てを取り付けた状態では端部が開いたままになっています。
この端部に取り付けるものがスチールタブと呼ばれる溶接が溢れないようにする副材になります。
本来の目的はH鋼のフランジ全て(全線)を最後まで溶接することが出来るようにする。
検査を受けて溶け込み不良などのNGが出ないようにするための余長になります。溶接は最初と最後が欠陥が出やすくなりますので、そこを検査対象外で済ませよう。と言うのが本来の使用目的になります。
自社では、自分たちが使いやすいコーナータブ(商品名)を使用しています。(↓がコーナタブ)
その他、デッキ受けはフラットバーをプレス加工した物を購入して使用しています。
剛接梁のジョイント部分スプライスプレート横に取り付けます。窪んだ部分が溶接箇所になります。
用途は切り込んだデッキプレートを受けるためのはね出しになります。基本的にデッキが乗るためだけの板になります。なので名前もそのまま「デッキ受け」
他には、ネットフック、吊りピース、母屋受け、など物件によって様々なものが取りつきます。設計図書、製作図等をよく確認して必要なものを必要な場所に配置、溶接することが求められます。
組み立ての精度
コアの組み立て時には合わせるポイントが多くあります。
H鋼の倒れまたは歪みを、置いたそのままでは希望の形にはなっていませんので、強制的に逆歪みを取って、形を矯正して行きます。
サイコロの組み立て精度にも左右されます。あまりにも大きさが違う場合にはH鋼は入りきらずに、外れてしまいます。そうならない為にも1つ1つを丁寧にこなしていく必要があります。
精度良く組み立てられたものは次工程での仕事も早くなります。サイコロの精度が良ければ仕口組みも早く進めることが出来ます。
物作りと自分の成長
何事でも丁寧にこなしていくことは大切な心構えであり必要なことであります。しかし時間をかければ丁寧にこなしていることになるのかと言うと話は違います。
最初は正確にこなす事を良しとし、どうすれば綺麗にこなすことができるかを考えていくことが必要になります。慣れてきたなら、スピードアップを目指しましょう。
1個できる時間で1個以上できれば自分の商品価値が上がって行きます。
いろいろなところで自分の商品価値は上げて行けると思います。そして、その商品(自分)が認められると、お金(賃金)が上がる可能性が出てきます。
いつまでも給料が上がらないことを嘆いて、自分という商品をレベルアップしていかないのであれば当然結果は決まってしまいます。相性の良し悪しはあるかと思いますが、相手に自分を見てもらう事(アピール)も成長の一助になると思います。
向き合う対象は結果的に自身となるような気がします。
ここまでお付き合い頂きまして、有難うございます。
次回またお会いいたしましょう。