自社の鉄骨は「S造」と呼ばれる重量鉄骨が製作の大半を占めています。
その中でもコラムは軸になる部材になりますので、大抵の物件で使用されるようになります。
柱の「幹」になる部分は規格名BCR295
BCR295は正式名称「建築構造用冷間ロール成形角形鋼管」と呼ばれ、建築鉄骨の材料としては一般的な材料となります。
切断
材料の加工は、自社では1次加工を協力会社にお願いしています。
切断、開先加工を専用の機械で加工をしてもらいます。
製作図から切断寸法を読み出しリスト(加工指示書)を製作します。
まずは、指定長さに切断します。切断するにも専用の機械を使用して精度良く切断していきます。
この切断した部分にまた更に機械加工を施します。
開先加工
切断面を35度に(斜めに)機械加工もしくは、ガス切断を使用して加工します。基本的には機械加工になります。
機械加工ができない場合はガス切断を使用してベベル角度を切り出します。後にサンダー(グラインダー)を使用して仕上げていきます。
材料の1次加工終了時点の35度の状態を「ベベル角度」。
組み立て後裏当て等が付いた時点で名称が「開先角度」
と、名称が変わります。溶接出来る状態が開先角度で、ルート間隔と呼ばれるようななります。
ルート間隔
7ミリとるように設定します。
加工目的としましては、溶接(フルペネ)が溶け込みやすくなるように加工します。
裏当ては突き出すように取り付けます。
全長を確認しながら取り付けます。
裏当ての内側を溶接で固定していきます。
溶接は溶接可能範囲を全線固定します。溶接可能範囲とは、コラムのR部分(角部)は溶接してはいけないとされていますので、禁止部分を逃げて平坦な直線部分をできるだけ長く溶接するようにします。ここで長めに溶接する事により溶接した時の「縮み」が少なくなるように感じます。これは私の感覚での話になります。
実際は溶接の際にどれだけ大きな熱を使って溶接したかによって縮み方がかわるのですが、少しでも何かできる事があればやっておいた方が良いですよね。
裏当ての取り付けが終了したら、ベースプレート(BPL)なりコアを接続したりで柱の形になっていきます。
伸び縮み
鉄はあたためると伸びる、冷めると縮む特徴があります。この特徴は溶接をするとどんな場面でも必ず発生してしまいます。
温める温度は太陽光に晒しておいても温まります。夏場などは日当たりが良く長時間の蓄熱によって鉄骨は軽く火傷できる温度にまでなります。このような温度においても鉄は伸びます。
溶接の温度にしてみたら鉄が溶ける温度まで上がりますから、軽く1000℃を超えてきます。この温度が次は急激に冷めていきますので膨張していた鉄の組織が収縮していきます。そして温度変化は激しく変化していく事になるので、変形が起こっていきます。
変形をあらかじめ予測して組み立てを行い、寸法を縮城を見込んだ寸法に設定することが必要になってきます。
毎回同じように変化や収縮が起これば良いのですが、材料の性質や内部に働いている残留応力は目には見えません。結果どのように曲がるか、縮むかは経験則で大方の予想を立てなければいけません。
その予想に対応するように大きめに組み立てたり、矯正ジグを使用したりと工夫を凝らして作業していかないといけないですね。
製品としての範囲を超えてしまったものに関しては手直しをするか、最悪の場合作り直しということもあり得ますので、十分な検討が必要になってきます。
経験豊富な大先輩たちに教えを乞うことも大事ですし、普段から聞きやすい関係を構築しておくことも自分自身に対しての準備になるかと思います。
最後でお付き合い頂きまして、ありがとうございます。
次回またお会いいたしましょう。