ガス切断とはどのようなものか?
ガスを利用して火力を使い酸化によって鉄を切る。
ひと口に表現するとこのような感じになります。
では、ガスを取り扱うことがどのようなものなのかを少し触ってみたいと思います。
ガスの種類
一般的な鉄骨屋で使用しているガスの種類
酸素
アセチレン
炭酸
アルゴン
があげられます。
今回は酸素とアセチレンを取り上げてみましょう。
アセチレン
アセチレンガスは可燃性ガスで、それ単独で燃える事ができるガスになります。
発火しやすいガスになるので、火打ち石などの火花で簡単に火が付きます。
簡単に燃える分ガス漏れなどでの事故に繋がらないように匂いが付けられています。
鼻を突くなんと表現したらいいか分からない臭い匂いが付けられています。
ガス切断に使用する炎の主炎になります。単体で燃えている時は赤色の焚き火の時に見られる炎に似ています。
アセチレンのビンはレンガ色になります。
酸素
酸素ガスは支燃性ガスになり、可燃性ガスの火力を増す(助ける)働きをします。
酸素単体では火を維持できず可燃性ガスと合わせて燃えることにより火力を上げることが可能になります。
酸素はアセチレンみたいにガス自体に匂いは付けられていませんのでガス漏れに関しては匂いで判別することは出来ません。
酸素のビンの色は黒色になります。
ガス切断の用意
鉄を切断する用意をします。
道具としては
- 酸素ゲージ
- アセチレンゲージ
- ガスホース(ゲージと切断器をつなげてガスを通す専用ホース)
- 吹管(正式名称は「すいかん」通称切断器)
- ガスコック(ビンの栓を開閉するための専用工具)
以上が必要になります。
酸素には酸素ゲージ、アセチレンにはアセチレンゲージをそれぞれ取り付けます。
上の写真が酸素ゲージになります。緑色や黒が多いですね。
下がアセチレンゲージで赤色になります。
注意点を1つ上げますと、酸素ゲージには2種類あります。接続部分のネジがメスネジ(ナット型)とオスネジ(ボルト型)の形の違いがあります。これはビンの形に合わせて用意しなければなりません。一般的には関西と関東を境にビンの型が変わると言われていまして、関東の業者が自分たちの道具を持参して行って、関西の方で用意して貰ったビンを使用する際に「ゲージがつかない」という話を聞きます。逆も然り。自分の所で全部用意していかない場合は注意が必要になります。
関東と関西の境がどこからと言われますとはっきりとは言えないのですが、しっかりと確認をしないと行った先で仕事にならないなんて事もありえます。
それぞれゲージをセットしましたら専用のホースを接続してその先に切断器をつけます。
青色が酸素に、赤がアセチレンにそれぞれ接続します。
ビンの頭の部分には四角い開閉栓がついています。それをガスコックで開けます。
ガスが出ましたらゲージを使って減圧調整します。使用する条件に合わせて流量を調節します。
切断器の方では手元の栓でアセチレン1箇所と酸素は2箇所開閉栓があります。酸素は低圧と高圧があり、アセチレンに火を付けてその火の火力をさらに強めるために低圧で援助します。赤い炎から青い炎へと切り替わります。
鉄を切断する
鉄に近づけて温めます。
鉄本体が溶けるように温度が上がってきたら今度は高圧を出します。この高圧は一気に酸素を集中して出すことにより、溶けている部分を酸化させていきます。この酸化していく状態を維持しながら移動することにより切断することができます。
真っ直ぐに切るために定規を使います。切断定規と呼ぶお手製のガイドが一般的になります。
その他、日酸TANAKA「KT270 」カッティングガイドは僕自身好んで使用する道具の1つになります。100Vなどのコンセントも使用せず、ゼンマイ式のような仕組みになっていて永磁石で切断対象に固定が出来て、引く押すを自分の力加減で調節できる優れものです。
慣れるまでは回数をこなさなくてはいけないですが、上手に出来るようになってくると切断面が綺麗に切れます。感覚の世界なので、言葉にするとなると難しいですね。火力調整から手の動きまでほとんどが経験による感になります。
今回も最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。
次回またお会いいたしましょう。